たきぶろ

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アニメ『とらドラ!』 恋愛一本で描く傑作

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こんにちは!

500年ぶりくらいにアニメ『とらドラ!』全25話を見返したんですが、最近のアニメに引けを取らない…というか最近の作品よりずっと面白い傑作でした。

 

放送されたのが2008年の秋クールから2009年の冬クールまでなので丁度10年前のアニメってことになります。懐か死にそう。

 

 

あらすじ

 

親譲りの目つきの悪さでヤンキーと勘違いされる高須竜児は高校の2年生のクラス替えで竜児が密かに想いを寄せる櫛枝実乃梨や親友の北村祐作、「手乗りタイガー」と称され恐れられる逢坂大河と同じクラスになる。

 

ある日、北村に好意を持つ大河が誤って竜児の鞄にラブレターを入れてしまい、流れで竜児は大河の恋を、大河は竜児の恋を応援することになる。

 

 

ストーリーとしてはプール、夏休み、文化祭、クリスマス、修学旅行など1年を通して彼らの恋模様を繊細に描くボーイミーツガール作品です。

 

 

恋愛一本で勝負

 

ブコメと一言で言っても音楽、SF、ロボット、ゲームなど他の要素が入ってる作品が多い印象ですよね。

 

しかし、本作は恋愛アニメでは最高峰と呼ばれるだけあって恋愛を純度100%で描いています。

 

そしてやはり心理描写や含みのあるセリフ選びが上手いです。視聴者にキャラの気持ちを表現する際もセリフや行動をある程度間接的に描いていてラブコメにとって最も重要な部分を綺麗に作っています。

 

タイトルからわかるように主人公とヒロインがくっ付くんだろ!って1話を見た瞬間にわかるんですけど、その既定路線ありきにして考えても最終話までの描き方が素晴らしいです。

 

主人公の竜児やヒロインの大河の2人の関係が主軸に置かれていますが、実乃梨や祐作、亜美の関わり方がこの作品の面白さを広げているます。

 

恋愛要素一本、そして結末がある程度予想できるのに素晴らしい過程を描くという真っ向勝負をしたからこそこの作品は評価されているんだと思います。

 

 

アニメでラブコメを描くこと

 

この作品が何故ここまで評価されるのかと考えたときにこの作品がラノベ原作であり、アニメーションだからだと僕は考えています。

 

恋愛アニメに限らず世の恋愛コンテンツが視聴者を冷めさせてしまう要素は超急展開や薄っぺらいキャラがいること、矛盾や無理のある設定があることなどであり、「比較的現実的」であることと「感情移入ができる」ことが求められています。

 

恋愛ドラマだと視聴者が冷めてしまうハードルがさらに高いイメージがあります。ドラマは本当の人間が演じているだけに現実的でないといけないという側面が強いです。

 

小説も恋愛ならではの人間の深みが出せないといけないのでしっかりとした境遇や行動などから強い感情移入を求められます。

 

 

 

とらドラ!』はストーリーも恋愛の心理描写などの演出もコミカルな脚本も本当に素晴らしい。

 

しかしそれ以上にすごいのが視聴者を上手いこと冷めさせないところです。

 

アニメならではのご都合主義やコミカルすぎる演出は控えていますし、設定の甘い薄っぺらすぎるキャラはいません。

 

なんというか、ご都合主義を排除したフィクションって感じです。キャラの行動や物語の進み方も自然ですごく共感できます。

 

アニメだからできる特殊な演出やご都合主義を上手く抑えて「恋愛アニメ」における絶妙な表現方法の枠をしっかり守って作られている作品だと感じました。

 

 

とらドラ!のキャラについて

 

やれやれ系主人公、ツンデレヒロイン、元気娘、生徒会長、性悪モデル、これだけ見ると物語を進めるコマとしてのキャラクターの個性は十分なのですが他の作品と比べると少し個性弱めかなって思います。

 

ですが1人1人にしっかりした設定があります。噛めば噛むほど味が出る感じ。

 

「主人公の目つきが悪い」なんて他の作品だとただの個性として終わらせてしまいそうですが、

 

とらドラ!』では竜児の家庭事情に繋がっているんですね。ヤクザである竜児の父親は泰子と竜児を置いていなくなります(本当は結婚もしていません)。

 

竜児の父親の事情や泰子が背負っているものが竜児の目つきの悪さに現れているようで作中で話題になるたびに気になりました。

 

こんな風にキャラの設定がかなり細かく作られていて度肝を抜かれることがしばしばありました。

 

また、何と言ってもすごい印象的だったのが櫛枝実乃梨でした。

 

序盤はマイペースな元気娘で竜児の意中の女の子。

 

しかし中盤以降は竜児のことが好きになり、親友である大河との接し方や竜児と大河の関係に苦悩します。

 

櫛枝は元気娘を演じているけど、根は真面目で友達思いの良い子。でも、いまいち恋がわからなかったり自分の気持ちに向き合えなくて悩みを抱える女の子でもあります。

 

他作品なら元気娘は終始元気娘で終わるイメージですが櫛枝は一味も二味も違いましたね。

 

中盤以降の櫛枝の深みが広がる感じが何とも言えなかった。

 

もはや櫛枝が視点で『とらドラ!』を描いて欲しいくらい、物語の中枢に関わっていて、色々なことに翻弄されて、さらに自分自身と向き合い成長したキャラだと思いました。

 

正直、初めて『とらドラ!』を見る人は竜児と大河の恋模様にスポットを当てて見るべきだと思いますが、2周目以降は櫛枝の苦悩や葛藤、そして成長に注目して見るべきだと思います。

 

 

まとめ

 

さすが名作とあるだけに語りたいことや考察できることが山ほどあります。しかも語りたいこと一つ一つに深みがあって自分のキャパがオーバーしそうです。

 

あと、5周はしないとしっかりはコメントできなさそうですね……

 

とりあえず日本アニメ史に残る最高のラブコメアニメだと断言できる作品だと思います。