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「少女☆歌劇 レビュースタァライト』 大場なな ループを目的とした絶望の輪廻

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今回は『少女☆歌劇 レビュースタァライト』についての感想記事(第1〜9話まで放送時点)です。

 

今期のアニメも終盤に差し掛かり多くの神回が生まれてますね。

 

その中でも一際輝いていたと感じたのはレビュースタァライトの第7〜9話のばななちゃんを主軸としたストーリーです。

 

 

『少女☆歌劇 レビュースタァライト

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ミュージカル原作であり、ブシロードネルケプランニングによるメディアミックス作品。

 

俳優育成科に通う少女たちが永遠に輝き続けるスタァになるためにキリンのオーデション(裏オーデション)に参加する舞台少女の葛藤や成長を描く群像劇です。

 

監督の古川知宏さんは『輪るピングドラム』や『ユリ熊嵐』などの制作に携わっており、両作品で監督を務めた幾原邦彦さんの影響を強く受けているようです。

 

そのため、幾原邦彦監督の『少女革命ウテナ』や『輪るピングドラム』らしさがレビュースタァライトにも出ています。

 

 

ループ自体を目的としたループ

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最高にネタバレになるのですがばななちゃんこと大場ななはループしています。

 

なんとレビュースタァライトはSF作品に頻繁に登場する「ループもの」なのです。

 

しかし、実は普通の「ループもの」とは違った部分がありました。お気づきですか?

 

普通のループだったらほとんどが過去改変をして現在を変えることが目的ですよね。

 

STEINS;GATE』の岡部倫太郎は幼馴染の椎名まゆりを救うため。

 

ひぐらしのなく頃に』の古手梨花は生きて7月1日を迎えるため(厳密にはループじゃないです。)。

 

『Re;ゼロから始まる異世界生活』の菜月昴は前へ進むために死に戻り、繰り返します。

 

上手くいかないから何度もやり直すのです。だから何度もループするんですね。

 

しかしレビュースタァライトのばななちゃんは違いました。

 

同じ時間を繰り返したいからループするんです。

 

ばななちゃんにとって第99回聖翔祭のスタァライトは輝きが消えないものであるため、その時間が大好きで尊く、永遠にしたいと思ったのです。

 

 

ループをした理由

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一言でいうと第99回の聖翔祭が特別だからです。ではなぜ特別なのか?

 

・最高の仲間に出会えた

 

9話でばななちゃんの中学時代のシーンが一瞬描かれます。おそらくばななちゃんは演劇をやってるんですけどばななちゃん以外の部員は掛け持ちで100%演劇に打ち込んでなかったようです。

 

そのためばななちゃんは温度差のある部員とはそれなりの関係にしかなれず、演劇のことを真剣に考えてくれる仲間と共に舞台に立ったことがなかったのです。

 

そして、中学の先生に聖翔音楽学院を推められ、そこで最高の仲間に出会う。

 

聖翔祭の打ち上げで印象に残ったシーンなんですが、

 

「そうだ!ばななっ!ななはみんなのバナナみたいだね。甘くて優しくて栄養満点、肩凝りまでほぐしちゃうんだもん!」

 

華恋がばななちゃんのことを「ばなな」と初めて命名します。

 

ばななちゃんのアイデンティティがはっきりと形になって、みんなの良い仲間として認められた瞬間だったんだと思います。

 

そしてこの日、ばななちゃんは初めて舞台少女になれたのです。

 

最高の仲間たちと舞台を作る楽しい日々を過ごし、本番も成功させ、仲間たちに認められた存在になった。ばななちゃんはこの上なく幸せだったと思います。

 

・初めての舞台に立てた

 

中学時代は全力で演劇ができなかったばななちゃんは聖翔音楽学院に入り、初めて熱い仲間たちと舞台を作ります。それは彼女にとって初めての体験であり、感動したんだと思います。

 

初めての体験はその人にとっては一生ものですよね。ばななちゃんにとってはそれを超えるものが今後体験できるのかと疑問に思うほどとてつもないものだったんだと思います。

 

ちゃんとした仲間と舞台を作ったことが彼女にとって大事なのです。

 

その後、ばななちゃんは真矢様から本気を出していないことに怒りを買います。

 

しかしばななちゃんは舞台を最高の仲間と作ることが楽しすぎて本気で演劇に打ち込むことを意識していません。

 

意図的に力を抜いているのではなく舞台を一からみんなで作る楽しさに魅了されてそうなってしまっているんだと思います。

 

自身が努力してきたからこそ真矢様にとって才能があるのに前に進もうとしない人は許せないかもしれないんですけど、

 

ばななちゃんが「最高の仲間と舞台を作る」ことにベクトルが向いてしまう理由も彼女の境遇から理解できるんですよね。

 

この2人のすれ違いはともかくばななちゃんは99回聖翔祭で初めて「全力で舞台を作る仲間がいる」本当の舞台に立てたのです。

 

・同じメンバーでは2度とできない

 

2年生に上がり、俳優育成科の同級生が2人辞めます。

 

そのためいくら次回の聖翔祭のスタァライトが第99回のものと酷似していても、全く同じ舞台にはなり得ません。

 

ばななちゃんにとっては第99回聖翔祭のメンバーが最高であると認識しているので辞めていった彼女たちはどうしても必要な存在なのです。

 

 

ばななは前に進めないのか

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ばななちゃんは過去に囚われています。第99回聖翔祭のスタァライトが忘れられないのです。

 

しかし、彼女は前に進むことを悪だと捉えているのでしょうか?

 

いいえ、そんなことはありません。第9話でばななちゃんはひかりの登場や華恋の変化などみんながどんどん魅力的に成長していくのを見て、再演に疑問を持っていたと告白します。

 

自分にとって大事な舞台を再演したいけど、周りのみんなは成長していく。自分はどうすればいいのかという葛藤です。

 

そこで純菜が「もっと良い再演」をすればいいと答えを示してくれます。

 

ばななちゃんは結局未来を否定しなかったんですね。

 

過去と未来を天秤かけて過去が少し重かっただけなんです。

 

華恋たちみんなの成長は未来の重りを少しずつ重くしてばななちゃんを前に向かせたんです。

 

過去に囚われて前進しない人は前に進む人と比べて魅力的じゃないですよね。

 

自分が守ってきた過去の時間を大切にしつつ前に進むという選択がベストなんだと思います。

 

 

ひかりちゃんループ説

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余談ですが当初はばななちゃんじゃなくてひかりちゃんがループしてるんじゃね?と思ってました。

 

スタァライトは最後に2人が引き裂かれる悲劇なので、キリンのオーデションで最終的に華恋とひかりちゃんは2人でスタァにはなれず、ひかりちゃんは2人でスタァになれるまで何度も絶望の輪廻を繰り返してるんじゃないかと、、、

 

完全に読みが外れましたが何となくストーリーてきにはその方がしっくり来る気がしますね。

 

 

まとめ

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ばななちゃんはなかなか革命的なキャラクターで面白いです。キャラデザもバナナ感強くて笑いました。

 

レビュースタァライトは今期の覇権を狙えるレベルで面白いので最後まで目が離せません。