たきぶろ

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『こみっくがーるず』 感想 カオスを成長させたものは何か

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こんにちは、たきみです。

 

今回は、今期のきらら枠『こみっくがーるず』についてです。

 

 

この作品は終始、ゆるふわ日常系を基本として描かれているんですが、同時に漫画家というクリエイターとしての葛藤や成長も描かれています。

 

少女漫画家である小夢は、翼との共同生活やデートを通して男キャラを魅力的に描けるようになります。

 

ティーンズラブ漫画家の琉姫は、エロい描写がある自分の作品に後ろめたさを感じていたが、サイン会でファンの声を聞いて自分の描いてきた漫画は間違ってなかったことを自覚し、前に進みます。

 

少年漫画家の翼の家族は翼が漫画を描くことを応援していません。彼女は実家ではお嬢様として振舞っていますが、そんな環境に反抗して自分らしいことをしたいという意思で中二病なキャラを演じ、自分らしい作品を描く努力をしています。

 

薫子の場合

 

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主人公の薫子(以下、カオス)もリアルな女子高生の視点を手に入れ、その上で4人での寮生活から得たものを使ってインスピレーションし、ほのぼの日常系4コマ漫画を書き上げます。

 

11話でカオスが編集さんに4つのネームを提出します。カオスが提出した4つ目の日常系4コマが褒められます。このシーンでハッとしました。

 

今までのほのぼの日常系パートはカオスのインプット作業(意図はしてない)になっていて、自身の経験をこの4コマ漫画にアウトプットしたのです。

 

さらにカオスは「自分らしさ」を出し自身の漫画を描くことに成功している。

 

カオスは恋愛4コマ、エロ4コマ、異世界ファンタジー4コマのネームを編集に見せるが良い評価は貰えない。これは薫子の「自分らしさ」が漫画に描かれてないから。

 

ほのぼの日常系の4コマは自身の経験をネタにしており、さらにキャラクターもおそらく自分たちがモデルになっている。

 

カオスは寮生活を送ることで漫画のネタやキャラクター、世界観を作っていたのです。

 

 

共同生活から得た女子高生らしさ

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1話でカオスは読者から「リアリティのない女子高生」と言われます。あばばば

 

たしかにカオスはオタクでネガティブで気弱な性格で何事にもおどおどしていて平均的な女子高生よりも奇異な生き方をしています。

 

彼女の描くキャラもラッキーすけべに喜ぶような女子高生であったりと、彼女の思い描く女子高生とリアルの女子高生にはあまりにギャップがあります。

 

というかそもそも本人がおっさん思考なんですね。水着回では他3人の水着を見てデレデレしてたら顔面にボールが当たります。

 

 

カオスはもともと引っ込み思案で小動物が友だちみたいな子なのでリアルな女子高生がわからないのも仕方がないですね。あばあば

 

しかし、小夢たちと一緒に買い物へ行ったり海へ行ったり女子高生らしい生活をする中でリアリティのある女子高生像を作っていきます。

 

そこで得た女子高生らしい感覚を漫画に反映させ、さらに自分が本当に好きだった日常生活をネタにする事でステキな作品が作れたんだと思います。

 

結局、カオスが良い漫画が描けたのは寮生活のおかけであり、仲間の漫画家3人のおかげなのです。

 

 

サポートしてくれる人たち

 

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寮が建て替えのため、最終話でカオス以外の3人は先に帰省します。カオスは今までずっと4人でいた場所に1人残され、寂しさと自分の非力さを実感して漫画が描けなくなります。

 

そこへ担当編集の編沢さんや寮母さん、カオスのお母さん、ねゃおす先生が気にかけてくれます。

 

カオスは普段からフォローしてくれる存在を実感して頑張ろうとします。

 

特に編沢さんが優しい。

 

他に色々な仕事があるはずなのに、曲者のカオス先生を諦めずに面倒みてあげてるあたりがすごい。良い人。

 

 

カオスのプライド

 

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カオスは自分を常に卑下しすぎているのですが、人並みの自尊心やプライドがあります。

 

小夢の連載が決まったとき、手拭いをギュッとするシーンがあります。次の瞬間には卑下モードに入ってるんですけど、、、

 

おそらくこのときカオスは「先を越されて悔しいし自分が情けない。少し嫉しい気持ちもあるけど素直に小夢ちゃんの成功を喜びたい」って思ったはずです。

 

カオスは基本的に気弱なのでプライドを見せるシーンが少ないのですが、漫画家として成功したいっていう気持ちはしっかり持っています。

 

このプライドや自尊心が彼女を支える一つの柱となってるんではないでしょうか。

 

 

何が成長した?

 

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最終的にカオスの気弱な部分やネガティブな部分が解消されたわけではありません。

 

人間の性格はそう簡単には変わらないです。その辺はリアルだなぁと思いました。

 

カオスは壁にぶち当たる事で自分の周りの人たちが自分の味方だと自覚することで困難を乗り切りました。

 

自分らしく描ける漫画を見つけたこと、自分の周りに味方がたくさんいることに気づけたこと、そこから得た小さな自信。それがカオスの成長です。

 

 

まとめ

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つまり、カオスを成長させたものは4人で過ごした時間とサポートしてくれる人たち、彼女自身の自尊心だったんだと思います。

 

日常パートがカオスの成長に欠かせない要素であった点を考えると、非常によくできたアニメです。

 

きらら枠ではありますがクリエイターの悩みや葛藤、成長をしっかり描いていて、楽しめる要素に多様性があります。

 

 

きらら系のアニメも舐めてはいけませんね。あばあば